のびる塔


高く真っすぐにのびる塔は美しい。がしかし、伸びれば伸びるほど、寸分の狂いも許されない。曲がればたちまち、立て直す暇なく倒れてしまう。

勝手ながら、私はこの塔に期待している。高く鋭くのびるこの塔にだ。同時に、心配もしている。倒れてしまえば、ただ長い図体が惨めに地を這うだけである。どれほど伸びるだろうか。いっそのこと今すぐ折れてしまったほうが気が楽なのだが…

少しぐらい、自分の手でこの塔をのばそうとも思ったこともある。私にみを寄せれば少しぐらい曲がったって平気だろう。

しかし私は怖いのだ、塔が私の手を拒み、身を捩り、倒れるのが怖いのだ。

私に手を伸ばす覚悟が、或いは、見守り続ける忍耐があれば、私もあれ程高くなれたのだろうか。

羨望の目で、塔をみつめる。



Copyright (C) 2014 ころも(@nunokoromo) All Rights Reserved.

Copyright © 2009-2015 NextMont.